君が、好き…?(短)
私以外に人の姿はない。当たり前だ、この学校でHRをさぼる奴なんていない。
大きな木の下にあるベンチは今の時期に座るのは少し寒すぎた。
ましてブレザーしか着ていない状態で外に出ているなんて、自殺行為だ。
「……あー、なにやってんだろ」
泣いて火照った頬や瞼にはこの寒さがちょうど良かったらしい。
木の影になってるベンチに深く座って目を瞑ると、やっと頭も落ち着いてきてため息。
「風邪引く、」
ふわりと何かに包まれた感覚に瞼を上げると、声の主が居心地悪そうにこっちを見下ろしていた。
掛けてくれたのは、彼お気に入りの淡いオレンジ色のパーカー。微かに薫る香水になぜだか安心する気がした。