君が、好き…?(短)





私以外に人の姿はない。当たり前だ、この学校でHRをさぼる奴なんていない。


大きな木の下にあるベンチは今の時期に座るのは少し寒すぎた。

ましてブレザーしか着ていない状態で外に出ているなんて、自殺行為だ。


「……あー、なにやってんだろ」


泣いて火照った頬や瞼にはこの寒さがちょうど良かったらしい。

木の影になってるベンチに深く座って目を瞑ると、やっと頭も落ち着いてきてため息。










「風邪引く、」


ふわりと何かに包まれた感覚に瞼を上げると、声の主が居心地悪そうにこっちを見下ろしていた。

掛けてくれたのは、彼お気に入りの淡いオレンジ色のパーカー。微かに薫る香水になぜだか安心する気がした。





< 18 / 24 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop