君が、好き…?(短)
本っ当に最悪なことに、こいつと私は同じ名字だったりする。
2年に上がって初めて同じクラスになってから今日で4回目の席替え。なぜか毎回、私の席の前後左右どこかにこいつがいるのだ。
誰かが仕組んでいるとしか考えられないこの無意味な奇跡に、席替えの度にぬか喜びさせられるこっちの身にもなってほしい。
「ゆーんー、教科書忘れたから見してっ」
私の気持ちなんて分かってくれない担任が授業に入った直後、完璧な笑顔とともに振り向いてきたそいつを睨んで威嚇した。
「やだ。隣に見せてもらいなよ」
「だって浩介寝てる」
「叩き起こせばいいでしょ。後ろ向いてこーなーいーでっ!」
「ゆんの鬼ーっ」
「おにー」
「よかったね、浩くん起きてんじゃん」
いきなり混じった声に目を向けると、悠の隣の席で突っ伏していたはずの浩くんが、いつの間にか片肘で頭を支えて呆れた視線をこっちに向けていた。