君が、好き…?(短)











「ユナ、ちょっといい?」

「んー?」


大抵の人は私を“ゆん”って呼ぶのに、浩くんだけはずーっと“ユナ”って呼んでくる。


侑奈(ゆうな)だから“ユナ”の方が普通っぽいけど、呼ばれ慣れていない分、なんだかその響きがくすぐったい。


「ここさぁ、計算が合わないんだよね」

「んーとね、ここの公式が違くて。こっちのやつでやると解けるよ」

「えーっ!例題はこっち使ってんのに?」

「これの応用がこれになんのよ。ここの計算が省けるの。だから、こうなる」

「おぉ、まじだ!分かったっ」


出された問題集にはびっしりと計算の跡があって、浩くんがどれだけ努力しているかがよく分かる。



もうすぐ大事なテストがあるのだ。進級のクラス決めに関わる期末テスト。


仮にも進学校のここで勉強ができないのは少し致命的。逆に勉強できる人はヒーロー扱い。

極端に言うと、がり勉メガネ君だってモテちゃうような高校だ。





< 5 / 24 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop