君が、好き…?(短)
おでこにコツンと鈍い衝撃。
少しも動けないその状態で、浩くんは「くくくっ」と場違いな笑い声を零した。
「なーんてね」
愉しげに揺れるオレンジを力一杯叩(はた)いた。それはもう、いい音がするくらい強く。
「これだからチャラ男は、」
「“チャラ男”って死後じゃん?」
「うっさい!」
私の声に反応して微かに悠が動いた。
それに過剰に驚いて後ろに下がった私を浩くんが笑う。
「ま、なんか進展があったら教えてよ」
「……なんの話よ」
「分かってるくせに。んじゃ、まった明日~」
上機嫌で帰って行く彼の背中を睨みつけて、帰りに転けちゃえばいいのにと小さな悪意を持った。
外はすっかり真っ暗になっていた。冬の日暮れは本当にあっという間なのだ。
廊下から聞こえていた声もいつの間にかなくなっていた。
時計を確認してもう一度、ぐっすり眠っているであろう彼の肩を叩く。
「ちょっと、そろそろ起きないと本気で帰るよ!」
「…………」
「おーきーろっ」
「………………」