とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
『犯行予告では“明日の正午までに現金輸送車の現金を頂く”という内容だった。
正午までに来る現金輸送車は1台しかない。』
『それに乗り込むのか!?』
『そう…君がね。』
虎太郎はアランに名指しされてゴクリと唾を飲んだ。
『って訳で今回の概要を説明する。』
ダンはそう言うとスクリーンの半分に地図を表示させた。
『午前10時、銀行に輸送車が到着。
午前10時15分、現金を乗せて出発。
その後、30分間隔でA~D地点を通過。
…これが通常の流れだ。』
『って事はD地点に到着する頃には正午を過ぎるのか…』
『そうだ。人目に付きやすいA~BとC~Dも犯行に及ぶとは考え難い。
輸送車を狙うなら、恐らくB~C区間がチャンスだ。』
つまり11時15分~11時45分までの30分が勝負だな…
右京は手を挙げると『俺は何を?』と質問した。
『丁度B~C区間の中間に橋がある。そこで指示があるまで待機だ。
マモンが輸送車から出て来たら確保してくれ。
犯人は警察に任せていいだろう。』
『了解』
かなり無理がある作戦だったが、こっちの正体を晒さなきゃなんとかなるかもしれない。
『ニックは船舶免許を持っていたな?』
『ああ。クルーザくらいなら操縦出来る。』
『じゃあ、クロウと一緒に行って橋の下で待機だ。』
『お!現場に行けるとは嬉しいね~』
アランは『くれぐれも慎重に』とメンバー全員に念を押した。