とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
翌日の早朝、P2本部に着くと無線を傍受していたオペレーターのロイが右京達に向かって『ヤバいぞ』と険しい顔になった。
『予想以上に警察の警戒が厳しい…』
『普通には輸送車に近づけないか…』
アランは眼鏡を押し上げながら考え込んだ。
『ヒューガ。下から行こう…』
『下?』
『“下”だ。』
下水道だと気付いた虎太郎はあからさまに嫌な顔をした。
『虎太郎…ヘマすんなよ?』
気の毒そうに言う右京に虎太郎は『努力する…』と力無く答えてP2を後にした。
『さあ、俺達もデートと行こうか!』
『野郎とデートとか萎える…』
『クルージングだぜ?本命コースだ!』
そう言ってハイテンションのニックは右京に肩を回した。
虎太郎は人気のないマンホールの蓋を開けて下水道へと入った。
鼻につく臭いに顔を歪めながら『下水道に入った』とロイに言った。
『感想は?』
『予想通りだよ…早くナビってくれ…』
一刻も早く地上に出たかった。
このままじゃネズミの餌食になるかもしれない…
なんて、どうしようもない考えまで浮かんで来る。
『ククク…ヒューガ、もう少しの辛抱だ!その先に出口がある。』
『…戻ったら一発殴ってやる…』
虎太郎は悪態をつきながら指示された丸い蓋を押し上げた。