とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
『…もしかして、輸送車運転してるのって警官か?』
『そうらしいな。』
見つかったら自分が一番に犯人と間違われるだろうと考えて小さく舌打ちをした。
虎太郎は貧乏くじを引いた気がしてならなかった。
『ヒューガは侵入成功したみたいだな…』
『ああ…』
『こっちもそろそろ行動開始だ!』
ニックはアランの用意したクルーザを操縦して指定された橋へと向かった。
橋に近付くと右京は屋根の上にあがると軽く跳躍して橋に飛び移った。
その様子を見てニックはひとり口笛を吹いた。
『橋に到着した。待機する。』
『了解。周りの様子は?』
『…異常ない…』
右京は歩道のフェンスに腰を下ろして輸送車が来るのを待った。
そこまでは順調だった。
が、30分程過ぎた時インカムから聞こえた虎太郎の声に緊張が走った。
『…来やがった!』
『なんだって!?まだポイントBの手前じゃないか!!』
『真上に居る…』
真上だと!?
走行中の車に飛び乗ったのか!?
「クソ…!!」
そう虎太郎が言うのが聞こえたが、それっきり静かになった。
…失敗か!?
右京は道路の先を見つめた。
『…輸送車が見えた!止めるか?』
『どうやって!?』
『ニック!!掴まってろ!』
その言葉によくわからないままニックは船にしがみついた。