とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
署に届いた犯行予告は消印がなかったので直接投函されたらしかった。
署長はイタズラだと処理しようとしたが、あと1週間で定年になる刑事がいる事を思い出した。
『丁度いい。大した仕事もなくて暇だろう。』
それがアンダーソンが担当した理由だった。
よく刑事ドラマで『長年の刑事の勘で…』などとあるが、アンダーソンはそんなもの感じた事はなかった。
そもそも、そんなものがあるのなら定年間近の刑事はみんなコロンボになってしまう。
…刑事コロンボはひとりで充分だ。
それが彼の心の内だった。
作戦本部と言われる会議室に足を踏み入れると、ごく少数の警官が待機していた。
『この人数で輸送車強盗を検挙しろというのか!』
それはあまりにも少なすぎた。
ポイントAからDに数名ずつ待機させたとしても、最低30人は欲しかった。
なんとか掛け合って40人程の警官を回してもらった。
アンダーソンは各ポイントにチームを置き、あとは輸送車の護衛の為前後に警官車両を配置した。
『私が前の車両に乗る。
念の為輸送車にも警官が乗車するように。』
そうして輸送車にはまだ若いやる気のある警官を起用してやった。