とある堕天使のモノガタリⅡ ~MIDRASH~



翌日は早朝から現場待機し、10時に銀行に到着した輸送車に現金を積み込む作業に立ち合うことになっていた。


特に周辺の異常はなかった。


が、輸送車が停車してしばらくすると物音が微かに聞こえた。


『今なんか音しなかったか?』

『いえ…自分は何も聞こえませんでした。』


気のせいか…


血気盛んな若い警官は大きな声でみなぎるやる気をぶちまけていた。


自分にもあんな時期があったな…


そんな事を思いながら、『よし、みんな気を緩めるなよ?』と声をかけた。


何事もなくポイントAにさしかかった。

アンダーソンは無線を手に取ると待機中の警官と連絡を取った。


『状況を報告しろ。』

『こちらポイントA。特に異常はありません。』

『了解した。』


さすがに街中では手を出せないだろう…

車は数百メートル先を右折し、景色が急に寂しいなりだした。


アンダーソンは辺りに視線を動かし怪しい人物がいないか注意していた。

バックミラーで後方の輸送車も確認する。

真っ直ぐ前を向いて真面目に運転する無表情な若い警官の顔が見えた。


それがどことなく不自然で、気になって振り返った。


次の瞬間、ものすごい衝撃音がして思わず座席に隠れた。



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