とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
部屋に戻ると同室のアランはPCに向かい、オンラインゲームに夢中だった。
『クロウ。君が戻るのを待っていたんだ。』
『マイク達と飲んでたんだ。
何か用があった?』
『ああ。』
アランは椅子回転させて一瞬真顔になった。
『君は何者なんだい?』
その質問に思わず動揺してしまった。
『言ってる意味が解らない』
『とぼけても無駄だよ。』
彼はそう言うと、ラップトップの画面を右京に向けてブラウザーを切り換えた。
そこに映し出されたのは目隠しをされて部屋入って来た自分達の映像だった。
『…お前もアイツらの仲間か?』
『正確には“アイツらの一部”と仲間だよ。』
アランは眼鏡を外して目頭を揉みながら話し出した。
『君達はさっき言ってたね…“悪を知らしめるだけか”って。
あの秘密結社は結局それしか出来ないんだよ。
だから俺は仲間を募った。
…信頼出来る仲間をね。』
そう言うとアランはキーボードを叩いて映像を再生させた。
映像は虎太郎に近寄った男が吹っ飛んだ場面だった。
『今のは何だ?』
『…なんだろうな…』
しらばっくれる右京にアランは黙って映像に視線を戻した。
画面の中の右京が手を突き出すと、虎太郎の脇のドアノブが爆発した。