とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
『ウリエル…クロウがウリエル!?』
混乱するニックに虎太郎は肩を叩いて『落ち着け』と声をかけた。
『あの水柱もクロウの仕業だったのか!?』
『あれはコイツだ。』
右京は潤の頭をグリグリ撫でながら言った。
嬉しそうにニコニコ笑う小柄な黒髪の青年をニックはまじまじと見つめた。
『お初にお目にかかります。
“水島潤”こと、フォカロルと申します。』
『…“フォカロル”だって!?
じゃあ…君は…』
『ワタクシは右京様と契約した悪魔です。』
『味方って事か?』
潤はニックにあどけない笑みを向けた。
『なかなか優秀で助かってる。』
そう言うと目を潤ませながら『ありがとうございます』と言い静かに消えた。
『…信じられない…なんてファンタスティックなんだ!』
ニックは本部に戻るまでずっと興奮状態だった。
右京は足を止めて乱れた息を整えると、近くのショーウィンドウに目を向けた。
「…忍のプレゼント用意出来なかったな~」
ひとつ溜め息をつくと右京はまた走り出した。
クリスマスはちゃんとしたプレゼントを用意しようと考えながらP2へ向かった。
P2へ続く階段を上がろとして建物の一階のシャッターが上がっているのに気付いて右京はガラス越しに中を覗いた。