とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
「この骨董品は全部自分で集めたのか?」
「いや、ほとんどが父親の趣味だ。
去年他界して、あまりに数が多すぎて置き場所に困ってね…
処分するにも勿体無いだろ?」
右京は「ふーん」と相槌をうちながらショーケースを見て回った。
「なぁ、クリス。彼女にプレゼントを探してるんだ。
何かないかな?」
右京がそう言うとクリスはちょっと考え込んでから顔を上げた。
「…まだ全部荷解きしてないんだが…
少し時間をくれないか?」
「頼むよ。また来るから~」
右京がそう言うとクリスは初めて笑顔を見せた。
P2には朝からここに避難してたらしいアランとオペレーターのロイが居た。
『ああ、クリスだろ?防犯カメラを付けてやったぜ?』
一階のテナントに入ったアンティークショップの話を聞く右京にロイはそう答えた。
『クリスにはここは電機工業の事務所だって言ったんだよ。
そしたら防犯カメラを付けたいって言うからさ!』
そう言ってキーボードを操作してモニターに防犯カメラの映像を表示させた。
『…なるほど…盗撮に近いな…』
『人聞き悪いな!ちょっと拝借してるだけだ!
ここから向きもコントロール出来るんだぜ?』
得意気にそう語るロイに右京は溜め息をついた。
アランはその様子を見てクスッと笑うと、またすぐ自分のラップトップに視線を戻した。