とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
道場に続く渡り廊下を歩いていると、稽古を終えた門下生がぞろぞろと出てきたのが見えた。
『なんだ?仏教のミサか?』
『違うよ…しかもうちは無宗教だし…』
『あの子供達は?』
『うちの師範の弟子達だよ。』
結構な人数に驚く二人は右京に恐る恐る訪ねた。
『ジーチャンって…ヨーダみたいな感じか?』
『ぷっ…似てるかも!』
右京に気付いた門下生に「うきょーせんせー!」と呼ばれて手を振り替えした。
マイケルとジェイクを見て目を輝かせた子供達は駆け寄って来た。
「アメリカ人だ!」
「違うよ、こいつらはイギリス人だよ。」
騒ぐ子供達をマイケルは担ぎ上げてやると楽しそうな声が響いた。
「…なんじゃ?右京か?」
そう言って顔を出した師範を見て『…ヨーダだ!』と興奮するジェイクを無視して右京は師範に話しかけた。
「道場見せてやろうかと思ってさ。」
「なるほど。構わんよ。」
案の定、二人は道場に入ると感嘆の声を漏らした。
『素晴らしいじゃないか!』
『クロウ、ちょっと剣を振ってみろよ!』
右京はそう言われて師範と軽く手合わせする事にした。
師範は相変わらず右京に対して手加減はせず、激しく木刀のぶつかる音がなり響いた。