とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
カウンター内の右京は1年近くのブランクがあるにも関わらず、完璧な動作でカクテルを作った。
「意外と覚えてるもんだな…
ジンヤ、4番。」
ジェイク達と戯れていたジンヤは「はーい」と言ってカクテルを運びに行った。
『バーテンダーしてたとは聞いてたけど、それだけカクテルを作れるんならアルの店でも働けるんじゃないか?』
『“snake”で?』
『仕事探してたんだろ?』
確かにイギリスでのアルバイト先を探していたのだが、条件に合う所が無く半分諦めていた。
『大学があるから週2日くらいしか働けないぜ?』
P2の“仕事”も考えるとそれ以上は厳しいだろう。
『大丈夫だろ…帰ったら聞いといてやるよ。』
『…じゃあお願いするよ。』
右京の言葉にジェイクは『まかせろ』と口角を上げた。
そろそろ帰ろうかと右京達が立ち上がると、ガクは思い出したように「“年越しイベント”に顔を出せ」と言った。
「来れたらな。」
「ああ。待ってるよ。」
そう言うガクに手を振って店を出ると、路上で酔っ払いとちょっと威勢の良い若い男達が口論になっていた。
『日本って治安いいって聞いてたが、こういうの見ると大差ないな。』
『酔っ払いは万国共通って事だな…』
マイケル達の会話に頷くと、隣を歩いていた忍が足を止めた。