とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
困惑する忍に右京は小さく溜め息をついてぎゅっと抱き締めた。
「なに!?」
「…びっくりした…凄く綺麗で…。
…でも…」
「“でも”?」
「それは困る。
…俺、綺麗な忍をみんなに見せなくない。」
意味の分からない忍は「は?」と場違いな声を出した。
「忘れた?俺、すげー独占欲強いの。」
「…忘れてないけど、そんな心配必要なくない?」
「ちゃんと鏡見たの!?」
「…その言葉そっくり右京に返したい…」
忍は右京の胸を軽く押し返すと、表情を改めた。
「右京。少し自覚して?」
「なにを?」
「あなた、目立ち過ぎるの。」
「そりゃあ自覚してるよ。」
「じゃなくて!カッコ良すぎなのよ!」
「…誰がなんだって?」
「だから!右京がカッコイイって…」
ニヤリと笑う右京に忍はみるみる顔が赤くなった。
「…それは忍がそう思ってるの?」
「え?…えっと…」
後ずさる忍にジリジリと距離を詰める。
「忍もヤキモチ焼いたりするの?」
「…」
壁まで追い込まれて逃げ場を無くした忍は視線を逸らした。
「…俺を…独占したいと思う?」
「…近いよ…」
「当たり前。わざとだし。
…なぁ…答えろよ…」
耳元で響く右京の低い声にピクンと忍が反応した。