とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
カウントダウン
夕飯代わりに年越し蕎麦を食べ終えると、師範と叔父は晩酌を始めた。
右京達がそれを見て立ち上がると既にご機嫌な師範は右京に声をかけた。
「なんじゃ、もう出掛けるのか…」
「ここに居たらまた飲まされそうだからな…」
そう言ってマイケル達に『そろそろ行こう』と促した。
興奮気味のマイケルは踊りながら玄関に向かうのを見て忍が笑い出した。
『マイケルはダンス上手いね!』
『Thank you、シノブ!
プロになるのが夢でね…』
『たまにジェイクと踊ってるよな?』
『俺の専門はDJの方だがな。』
『凄い!…右京も踊れる?』
『勘弁してくれ…俺には無理だよ。』
そんなたわいもない会話をしながらaxelに着くと、いつも以上の混み具合に忍は圧倒された。
「去年と同じ位だろ…
大晦日のイベントは毎年恒例らしくてさ。
常連客達はaxelで年越ししてそのまま初詣らしいぞ。」
「去年か…そうね、確か右京は大晦日までバイト入れてたわね…」
「…まさか、まだ根に持ってる?」
「まさか!!思い出して腹が立っただけよ。」
…それを根に持ってるって言うんじゃね?
右京は地雷を踏まないように笑ってごまかした。
マイケルとジェイクに続いて店内に入ると、常連客達に挨拶をしながらカウンターに向かった。