とある堕天使のモノガタリⅡ ~MIDRASH~


右京が“P2”の拠点に着いたのは日付が変わる少し前だった。

そこは以前軟禁されたGD団のアジトとはかなり離れていた。


取り壊される寸前の建物で、一階はテナントが入っている。

“P2”はその2階にあり、入口は一見なんの変哲もないスチール製の扉だった。

が、内側は防弾加工され、何重にも鍵が取り付けられた頑丈な造りになっていた。


また、室内もボロボロの建物からは想像出来ないほどハイテクな機械が所狭しと配置されていて、右京達は最初訪れた時驚いて茫然となった。


その様子を見てリーダーのアランは満足そうな表情をしたのだった。



扉をノックすると右京はチラリと天井に取り付けられたカメラに手を振った。

返事が無い代わりにガシャンッ!とロックが外れる音がしたのを確認すると、扉を開けて中に入った。


『Hi!クロウ。
来ないかと思ってたよ。』

そう声をかけてきたロイに『ちょっと寄っただけ』と返事をして空いてる椅子に腰掛けた。


『この前の“使い魔”の件でニックが聞きたい事あるって言ってたぞ?』

そう言うと隣の部屋の扉にグイッと親指を向けた。

右京はシンディがくれたミネラルウォーターを受け取って飲みながら頷くと、隣の部屋へと入っ行った。

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