とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
マイケルの撮った1枚はまるで映画のワンシーンのようだった。
『ホントにうまく撮ったな…』
『俺、意外とカメラマンとかの素質あるかも!』
『被写体が良かったからだよ。』
ジェイクにそう言われて納得したマイケルに右京はデジカメを返して立ち上がった。
神社に続く階段の所で手を振るセリに忍も席を立って小走りで向かった。
右京はその後ろ姿を眺めながら目を細めた。
『なぁクロウ。お前らって付き合いだして長いんだってな…』
『ん~…4年くらいか…』
『寂しいか?離れるの…』
『そりゃあ寂しいさ。』
ジェイクはゆっくり階段を上がりながら一拍間を置いた。
『留学しないとダメなのか?…シノブが可哀想だ。』
ジェイクの言葉に右京も一拍置いた。
『…今はまだ側にいてやれないんだよ。』
まだ…終わりが見えなくて、また忍を泣かせる事になるだろう。
そう考えると胸が少し痛んだ。
除夜の鐘がまるで自分の内側で鳴ってるような感じがして、身体が震える。
それに耐えるように右京はポケットの中の拳に力を込めた。
『お節介かもしれねーけど、何か出来る事あったら言えよ?』
『俺も力になるぜ?仲間なんだから!』
“仲間”か…
右京はその言葉に微笑んだ。