とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
『“仲間”って響き、嫌いじゃない。』
そう言って自分の仲間達を眺めた。
『ひとりで抱え込むなんざ、“神”の域だ。
俺らは弱い人間なんだ。』
そんなジェイクの一言に黙って笑みを浮かべた。
…そうだ、この暖かさが俺の背中を押すんだ。
忍達に追いついた右京達は参拝の列に並んだ。
人々は時計を見てあと何秒とその時を待つ。
隣の忍も同じようにカウントダウンをしていた。
「右京と一緒に新年を迎えるなんて、きっと来年もいい年になるよ。」
そう言って笑う彼女の手を握る。
「5!」
右京は「俺も嬉しい」と小さく囁いた。
「4!」
ニッコリ笑う忍の艶やかな髪撫でて抱き寄せる。
「3!」
騒がしい周りによって右京の言葉がかき消され…
「2!」
忍だけに聞こえるように耳元で囁かれた言葉に忍が顔を上げた。
「1!」
一瞬見つめ合って二人は微笑んだ。
「ゼロ!」
新年を祝う人々に隠れるように右京に背伸びをして忍は口付けをした。
「新年おめでとう。
一つ願いが叶った。」
鐘の音が鳴り響く中、右京は願った。
“愛すべき人々に平穏な日々を”と…
そして…
また新しい年を迎えた…