とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
『ニックいるか?』
そう声をかけるとソファーに寝転んでいたニコラスは顔だけこちらに向けて『やぁ』と短く答えた。
『snakeで飲んでたんだって?ヒューガから聞いたよ。』
『半ば強制的に連れて行かれた。』
『いいじゃないか。今度俺とも行こう。』
右京は『喜んで』と微笑んだ。
『で、何か話があったんだろ?』
『あぁ、昨日の“使い魔”の事でちょっと聞きたかったんだ。』
ニコラスは起き上がると壁に貼られた地図の前に移動した。
『君は昨日この辺りを歩いていたんだったね?
“使い魔”に遭遇したのはどこか正確に教えてくれ。』
『このメインストリートの西にあるこの路地を歩いた。
2ブロック進んだ…ここの陰に潜んでた。』
地図を指差しながら答えると右京はミネラルウォーターを一口飲んだ。
『“使い魔”は1体じゃなかったと言ったね?』
『あぁ、うじゃうじゃいたぜ?』
そう言うとニコラスは顎髭を撫でながら唸った。
あの辺りでモンスターが出るという噂は以前からあったらしい。
アランはメンバーに『まずは偵察を』と指示した。
事前の作戦会議でアランはこう言った。
『俺は用があってこれから留守にするから、ダンに指揮を取ってもらう。
オペレーターはロイ。ヒューガはロイのサポートに回ってくれ。
偵察はクロウで。
シンディとニックはバックアップ。
以上!』
そう言うとアランは片手を上げて足早に出て行った。