とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
セリのようにOLとして企業に就職する学生が多い中、忍のような職種はなかなか内定が取れなかった。
15社受けて約半分一次試験が通れば良い方だろう。
「もし全滅しちゃったらどーするつもり?」
「就職浪人は避けたいけど、自力でなんとかするわ。」
「意外と根性あるのよね~…見かけによらず!」
「褒めてるのかしら?」
「関心してるのよ。」
右京にもこの前、Skypeで話した時「ガッツだけは一人前」と言われたばかりだ。
「それくらいしか取り柄ないしね~…」
「右京君が側にいたら全力で普通の企業を受けるように説得してもらうのにね…」
溜め息混じりのセリに「嫌よ」と言うと立ち上がった。
「図書館寄ってから帰るけど、セリは?」
「ゼミの教授のとこに寄ってくわ。」
セリは「じゃあまた明日」と手を振って忍とは逆方向に歩き出した。
…20社か…厳しいなぁ~…
大手と言われる出版社は履歴書を送っているが、期待は出来ない。
それが現状なのだ。
忍は図書館に入ると本棚の間を進む。
ふとその一角を見つめて立ち止まった。
“…図書館ってシチュエーション、いいな。”
そう言って色っぽく誘う右京を思い出してひとりでドキッとしてしまった。
「はぁ…重症かも…」
本棚にもたれてコツンと軽く頭を打った。