とある堕天使のモノガタリⅡ ~MIDRASH~


その拍子に何冊の本がバサバサと落ちてきた。


「…もう!何やってんの!」


忍は落ちてきた本に…否、自分自身になのかもしれないが少しムッとして独り言を言った。



散らばった本を拾い上げて目を落とした。


哲学の棚のはずなのに開かれたページには“グノーシス主義”という単語が目に付いた。


「これは宗教学の書籍じゃないの…」


“グノーシス主義”って確か地中海世界で勢力を持った古代宗教・思想…


裏表紙を開いて発行者欄を見てみると“イルミナティ出版社”と記載されていた。


「聞いたことないな…三流出版社かな…」


その本の内容が気になり、忍は借りて帰った。



夕飯後に借りた本を読んでみた。


内容はグノーシス主義を含む“反宇宙的二元論”についてや、秘密結社の存在の有無、そして“ヴィオニッチ手稿”や“死海文書”などの怪文書について書かれていた。


それらを信じる信じないは別として、忍は素直に面白いと思った。


忍は本にしおりを挟むと、出版社をネットで調べてみた。


「あった…元々はイギリスで出版された本なんだ…」


イルミナティ出版社は日本の出版社だったが、書籍はイギリスで発行されたものだと分かった。


この手の本は胡散臭くて読んだ事がなかったが、著者の見解はなかなか的を得ていて興味深いものだった。



< 181 / 474 >

この作品をシェア

pagetop