とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
忍は少し考えて、出版社の連絡先を手帳にメモした。
翌日は久しぶりのバイトの日だった。
大学4年になって就職活動もしているため、バイトの日数をかなり減らしていた。
「あれ?忍久しぶりじゃない。」
「おはよう、美鈴!」
「就職決まったの?」
「まだまだよ…」
「私も!仲間ね~」
そう笑う美鈴に忍も目を細めた。
「美鈴はどうするの?」
「私は適当~。OLって柄じゃないし、ぶっちゃけフリーターでもいいかなって思っさ!」
なんとも楽観的で美鈴らしいと忍は思った。
「先輩とは続いてるの?」
「うん。って言っても彼、仕事忙しくてあんま会えないんだけどね~」
大学でオカルト同好会に入っていた美鈴は、そこの部長と付き合っていた。
「プログラマーだっけ?大変そうだよね~…」
「でも人付き合い苦手らしいから気が楽みたい。
同僚も男ばっかで浮気の心配もないしね!」
確かに美鈴の彼氏はなかなかの美形だった。
彼女もそれなりに心配してたのだろう。
「そうだ!ちょっと聞きたいんだけど、“イルミナティ出版社”って知ってる?」
「随分マニアックな出版社の名前が出て来たわね…
知ってるわよ~
オカルト系の書籍はかなり出してるから、その筋じゃ有名よ?」
この手の話は美鈴が詳しいとは思ったが、やはり聞いて正解だったらしい。