とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
文末の記者の名前は“ニコール・ウィッシャー”と書かれていた。
「ニコール…女性記者!」
記者は性別でその価値を判断されないんだ…
そう思うとワクワクした。
同士にこの女性記者に会ってみたいと思った。
「思ったら即行動よね!?」
翌朝、忍はイルミナティ出版社に電話を掛けた。
日曜日は基本的に休みかとも思ったが、何もせずには居られなかった。
4コールあたりで忍は通話終了ボタンを押そうかと思った時、「はい、イルミナティ出版社です」と言う声が聞こえた。
慌てて電話を耳に当てると、忍は興奮気味にまくし立てた。
「私、大学4年生で今就職活動中なんですが、是非そちらの出版社で働きたくて…
募集はしていますか?」
「編集部は確か募集してませんね~
残念ですけど…」
「あの…きっ…記者希望なんです!」
「記者?…それでしたら万年人員不足ですよ。
ただ今日はこちらは休みでして担当が居ないんですよ。
まさか、記者希望の学生さんから連絡が来るとは思ってなかったので…」
電話口の男性にクスクス笑いながらそう言われて、忍は「本当にすみません」と電話に向かって頭を下げた。
連絡先と名前を伝えると、後日折り返してくれると言われた。
淡い期待を抱きながら電話を切ると、「とりあえず喜んでいいんだよね?」と呟いた。