とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
「嘘ばっか。右京が寂しくて掛けたんでしょ?」
『あれ、バレたか…
今さ、試験と“アンダーワーク”が重なって、寝てないんだ…』
“アンダーワーク”は裏の活動…つまり悪魔相手の危険な活動の事だとすぐ気付いた。
「怪我とかしてない?」
『してないよ。寝不足と忍不足なだけ。』
「ぷ…“忍不足”って何?どんな症状なの?」
『常に忍が欲しくなる…
なぐさめるのが大変なんだ。』
「ぶ…ただの欲求不満じゃない!」
右京と忍はそんなくだらない話で笑い合った。
『なんか良いことあったんだろ?』
「なんでわかるの?」
『メールが素直だったから。』
「そっか…お見通しだね~
実は就職活動でちょっと進展したから、今テンション高いの。」
『今就職大変なんだろ?』
「うん、凄い大変!」
『無理しないで俺を待っててもいいぜ?』
「ふふ…考えとく。」
『もう行かないと』と言う右京にいつものように『加護を』と囁いた。
『ありがとう、俺の女神…』
そう一言残して電話は切れた。
「…ありがとう、私の黒い天使さま…」
忍は切れた電話にポツリと呟いた。