とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
ロイは小型のインカムを取り出すと、偵察時の通信用だと説明した。
『本来スクランブルをかけて通信する予定だったんだが、プログラムがまだ出来上がってないんだ。
今回はスクランブルなしになるんだ…』
それを聞いていた虎太郎は『なぁ』と口を挟んだ。
『こう言うのはどうだろう…』
『なんだ?』
「俺達が日本語で話せば多少違うんじゃないの?」
『…なんだって?』
突然虎太郎が日本語で話し出し、ロイは困惑気味な表情をしたのを見て右京と虎太郎は笑った。
『もしかして今の日本語!?
ネイティヴな日本語初めて聞いたわ~』
シンディは興奮して虎太郎の手を握ってブンブン振った。
そして急に思い出した様な表情になると右京に向き直った。
『あ、そうだ!ちょっと見てもらいたい物があるの!』
デイバックをゴソゴソとかき回すと、折り畳まれた洋服を取り出した。
『コレは?…コート?』
『作ってみたの。ちょっと着てみて!』
それは袖のないフードの付いたロングコートのような変わったデザインの服だった。
シンディの本職はデザインナーらしい。
『クロウのその銀髪、目立つから、こーやって…』
シンディはコートを俺に着せるとフードを被せた。
それを見たダンは口笛を吹いて『ブラボー』と言った。
『ズルい!シンディ俺には!?』
『これは試作段階なのよ。ちゃんとヒューガにも作ってあげるわよ。あぁ、みんなのもね!』
シンディは得意気に金髪をかきあげて笑った。