とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
“ウイッカ”
右京は大学の授業が終わると、そのままキャンパスを横切って図書館に直行してレポートの資料を広げた。
睡魔と戦いながらレポートを進めるが、ついウトウトしてしまった。
誰かがひそひそと話す声が聞こえた気がして目を開けた。
『…めろって!』
『だい…だよ、あと一枚だけだから!』
『知らないぞ、怒られるって!』
パシャッ!というシャッター音がして顔を上げた。
『…またマイクか…』
『おはよう、眠り姫』
『まさか、それは俺に言ってんじゃないよな?』
欠伸をして伸びをすると資料に目を移した。
『頑張るね~…夜連日徹夜だろ?
まぁ、徹夜の原因はレポートじゃ無さそうだけど…』
『まるで女遊びをしてるみたいに聞こえるじゃねーか…』
右京は『勘弁してくれ』と消しゴムを投げた。
『クロウ、これは学業における“三種の神器”だ!
投げるとは何事だね!』
ふざけてオーバーなリアクションをとるマイケルを笑いながら資料を閉じた。
マイケルの隣に居た虎太郎は消しゴムを取り上げると右京に返した。
『右京、もうすぐ閉館だよ。』
『もうそんな時間か…』
虎太郎とマイケルに促され、荷物をまとめて図書館を後にした。