とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
首を捻った右京を見てニックが『インドの秘密結社だよ』と口を挟んだ。
『19世紀まで存在していた、女神“カーリー”を信仰していた。』
女神“カーリー”…?
虎太郎と右京は顔を見合わせた。
天界の神々の名はほぼ把握していたが、“カーリー”という名の女神は聞いたことがない。
人間が作り出したただの虚像の神か…?
『“ザック団”は消滅したが、“ウイッカ”は健在だ。
最近ネット上で魔女が現れたという噂をよく聞くようになってね…』
『“魔女”か…』
『魔女って事、人間だよな?』
『だといいんだが…』
『…』
『昔と違って近代のこの時代に“魔女”って気になるだろ?』
確かに、ここ最近魔女が現れたとあらば、不自然過ぎか…
アランはロイに合図をしてモニターに地図を表示させた。
『信憑性がある目撃例だけマークすると…』
ロイはブツブツ言いながらキーボードを叩いて赤い点を表示させた。
『テムズ川の南側か…あの辺りは森林があったな…』
『出そうじゃないか…“魔女”が…』
『…関係があるかわからないんだが…』
と、黙って聞いていたダンが口を開いた。