とある堕天使のモノガタリⅡ ~MIDRASH~


ダンは組んでいた足を解くと少し表情を引き締めた。


『数週間前にその森林付近で変死体が上がっている。』

『マジ?』

『身元不明の若い男性で、検死の結果で薬物反応が出た。

警察はドラッグの中毒じゃないかって言ってるが…偶然か?』

『薬物は特定されてんだろ?』

『おそらく…調べてみるよ。』


アランは『頼むよ』と静かに言ってから右京達に目を向けた。


『で、今回は噂だけで本当に魔女が居るかわからないんが…

特攻の二人には現地に行ってもらいたい。』

『魔女探しって訳か…』


アランは屈託のない柔らかな笑顔を二人に向けた。


『君達には退屈な任務かもしれないが、我々じゃ“魔女”に太刀打ち出来ないからね。』

『了解、ボス。

で、見つけて捕まえるのか?』

『いや…まずは“魔女”の狙いを探ろう。

その前に見つけられるかが問題だけどね。』

『ちなみに、魔女が目撃された時間帯は真夜中だけだ。』

『…やれやれ…また寝る時間が減るな…』


右京がボヤくとニックは『ガンバレ!』とニヤニヤしながら肩を叩いた。




その日から連日森林付近を偵察するものの、“魔女”はなかなか姿を表さなかった。


ダンの言っていた変死体の死因になった薬物は“アヤワスカ”と言われる麻薬だったらしい。


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