とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
遠恋“イギリス→日本”
寮に戻るとルームメイトはいつかと同じようにPCに向かいオンラインゲームに夢中だった。
『またそれやってんの?』
『おかえり、クロウ。
一緒にやるかい?』
『ああ、メールチェックしたらな。』
そう言うと自分のラップトップの電源を入れた。
受信箱には数件の未読メール。
その中の送信元の“SHINOBU”の文字を見つけて自然と頬がゆるむ。
『…随分嬉しそうだね…彼女からかい?』
『ああ…』
内容は師範の事だったり、axelの事だったり…
…声…聞きたいな…
『今の時間なら、日本は朝の9時くらいじゃないか?』
『え!?』
『クロウはわかりやすいな。…声聞きたいって顔してる。』
そう言ってアランはニッコリ笑った。
『ゲームはまた今度でいいよ。』
『ああ…ありがとう。』
そう答えて忍の携帯に『Skype』とメールを打った。
数分後、忍のIDがオンラインになった事を通知されるとヘッドセットを耳にかけた。
「…右京?」
「…忍…久しぶり。メールありがとう。」
「うん、元気にしてる?」
「ああ、元気だよ。ちょっと飲み過ぎちゃったけどね。」
「今は…そっちは0時か~」
「サマータイムだから1時だよ。」
「そっか!時差ってなんか不思議ね~」
今更そんな会話をしている忍がおかしくて可愛い。