とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
それから他愛もない会話をして、気がつくと1時間程過ぎていた。
『そろそろバイトの時間だ…』
『あ、もうこんな時間か…』
しばしの沈黙の後、忍が小さい声でポツリと「右京?」と言った。
「右京…会いたい…」
「…俺もだよ、忍…」
「ん…じゃあ…バイト行ってくるね。」
「忍!…離れててもずっと想ってるから…」
「うん…うん、ありがとう。
また連絡するね!」
「俺も。バイト頑張れよ。」
忍のIDがオフライン表示になるとPCの電源を切って布団に突っ伏した。
『ちゃんと愛は囁いたかい?』
『おい、茶化すなよ…』
『クク…さて、もう寝るよ。』
アランはそう言って部屋の電気をオフにした。
右京も目を閉じると、遠く離れた日本でバイトをする忍の姿を思い浮かべた。
今日も可愛い…。
今すぐ抱き締めてキスしたいよ…
そんな事を考えながら眠りに落ちていった。
その日見た夢はとても懐かしいあの日の出来事だった…