とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
それはクリスマスも過ぎ、年末のある日の事だった。
その日右京は忍と年末年始の買い出しの為、商店街まで来ていた。
かなりの荷物で、流石の右京も腕が釣りそうだった。
「ちょっと休憩!」
そう言うと右京は途中の公園のベンチに腰を下ろした。
忍はそばにあった自販機であったかいコーヒーを2本買うと、右京に1つを差し出して自分もベンチに座った。
「何かまだ買い忘れてる気がするんだよね~」
「マジ?もう無理!
只でさえクリスマスの忍戦で腰がヤバいのに…」
「ちょっ…やめてよ!何言ってんの!?」
そんなくだらない痴話喧嘩も右京は好きだった。
それは当時の何気ない日常で、毎日が忍でいっぱいだった。
怒った忍…笑った忍…時々泣いたりする忍…
その全てが右京にとっては愛しくてかけがえのない存在だった。
「今年は年越しどうする?初詣行くでしょ?」
「あ、思い出した。
俺、大晦日はバイトだわ…」
「えええ!?」
あからさまにガッカリする忍に微笑むと右京は顔を覗き込んだ。
「俺と過ごしたい?」
「…別にもうどーでもいいもん…」
拗ねる忍の肩を抱き寄せると耳元にキスを落とした。
「来ればいいじゃん。axelの年越しイベントなんだ。」
「…私に来て欲しい?」
「ん…忍に来て欲しい。」
「じゃあ行ってあげようかな~」
相変わらず素直じゃない忍に微笑みながら「良かった」と呟いた。