とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
突然現れた堕天使に驚く天使たちは一斉にウリエルを見上げた。
ウリエルはそれを気にせず自分の出て来た泉のそばにゆっくり舞い降りた。
驚き固まっていた天使たちは我に返ると、慌ててウリエルに跪いた。
『…驚かせてすまなかった。』
そう言うとキョロキョロと辺りを見渡す。
近くに真っ白く大きな扉を見つけてそこに向かって歩き出した。
扉の前に居た門番は近付いて来た堕天使に一瞬構えたが、それがウリエルと分かると慌てて跪いた。
『そう畏まるな。
ラファエルに用がある。通してくれまいか?』
『はっ!!』
ウリエルの言葉に門番は素早くその真っ白な扉を開いた。
床に敷かれた真っ赤な絨毯の先に豪華な玉座が見えた。
ウリエルはそこに向かってゆっくり歩き出した。
『おや…誰かと思えば珍しいお客だね。』
そう先に声を掛けてきたのは玉座に座る純白の6枚の羽を持った天使だった。
『しばらく見なかったが、何をしていたのだ?ウリエル…』
『主に休暇を頂いてね…
下界にいるのだ。』
『ウリエルが人間界に?
前から知っていたけど君は変わっているね。』
優雅に口元に手の甲を押し当てて笑うラファエルにウリエルも『まぁね』と口角を上げた。