とある堕天使のモノガタリⅡ ~MIDRASH~


突然巻き起こった歓声に振り返ると、かなりのギャラリーが居たことに気付いた。


ジェイクは『サムライ!!サムライ!!』と興奮気味に叫んでいた。


「いつの間に…」

「でも右京、腕は鈍ってないね。安心した。」

「虎太郎は鈍ったんじゃないか?」

「言ってくれるね~」


ニヤリと笑う虎太郎に木刀を突き付けると、嬉しそうに目を輝かせた。




途中から来たマイケルが「みんなどっちに賭ける?」と言うと、その後はお祭り騒ぎだった。



疲れて芝生に2人が寝転ぶとギャラリーのみんなが口々に「楽しかった」とお礼を言った。


誰が頼んだのかピザのデリバリーが到着し、それを囲んでランチになった。


『クロウもヒューガも凄くクールだったわ~』

『ホント!まさにサムライね!』

『俺はともかく、右京は次期師範だからね~』

『当分先だよ。』


それを聞いた女性陣は真っ赤な顔で『素敵だわ』と繰り返した。


『でも、クロウには“シノブ”が居るからね~』


マイケルがそう言うと虎太郎は飲んでいたコーラを吹き出した。


『なんで忍さんの事知ってんの!?』

『今朝クロウが寝言で言ってたんだよ~』

『うるせーな…ほっとけ!』


右京が照れたようにそっぽを向くと一同が興味津々でその顔を覗き込んだ。


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