とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
まだ幼い天使達が花園できゃあきゃあと戯れる姿が目に入った。
ウリエルに気付いた小さな天使が飛び跳ねるようにこちらに駆けて来ると、黒い翼をしげしげと眺めた。
『ふしぎないろです!』
『ふしぎ!ふしぎ!』
ウリエルを子ども達の笑い声が包む。
『とてもキレイです!』
『キレイ!キレイ!』
『ありがとう。
お前達、サリエルを知っているかい?』
『サリーさましってます!』
『しってます!しってます!』
そう言って小さな手がウリエルの手を引いた。
『こっちなのです!』
『こっち!こっち!』
微笑んでかわいい案内人を抱き上げると肩に乗せ歩き出した。
『おなまえがしりたいです!』
『私はウリエルだよ。』
『ウリーさま!ウリーさま!』
『あっちです、ウリーさま!』
そう言って森の方を指差した。
ウリエルは森の入り口で立ち止まると小さな天使をゆっくり降ろした。
『ありがとう。助かったよ。』
『どういたしまして!』
『いたしまして!』
子ども達はまたきゃあきゃあ笑いながら花園へ走って行った。
途中何度か振り返って両手をブンブンと振っている姿に頬がゆるむ。
ウリエルはそれを見送ってから森へと足を踏み入れた。