とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
強さの裏に時折見える黒い影…
彼は彼の内側に潜む“悪”をねじ伏せるだけの強さを持っているのだ。
『私は…私は…』
私はどうするべきか…
この堕天使とやり合うのか?
それもラファエル様の間違った命を執行する為に…
『…ラファエル様の命には賛成出来ない!
それよりも彼女を…アンナを説得したいのです!』
そう涙ながらに語るサリエルにウリエルは穏やかに微笑んだ。
『ウリエル様…私に出来ると思いますか?』
『出来るさ。』
当たり前の様に答えてくれるウリエルの言葉が気心地良く感じた。
天を仰いで瞳を閉じ、しばし心を落ち着かせるとサリエルはゆっくり目を開いてウリエルを真っ直ぐ見据えた。
『やってみます!
いえ、やってみせます!
…手伝って頂けますか?』
その言葉にウリエルは右手を差し出した。
『サリエル…お前は思った程弱くないようだ。』
そう言ってウリエルは満足げな笑みを浮かべた。