とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
“懺悔”と“癒し”
『ふわぁぁぁぁ~…』
虎太郎はだらしないロイの大欠伸を頬杖をつきながら眺めていた。
アランはずっとPCに向かい、シンディはウトウトしながらデスクで何かを書いていた。
ニックとダンに関してはすでにソファに足を投げ出していびきをかいている。
『…そろそろかな…』
虎太郎の呟きにアランがモニターから顔を上げて壁の時計に視線を移した。
…とその下の空間が黒く歪んだ気がして目をゴシゴシとこすった。
『帰って来たみたいだよ。』
虎太郎が『え?』と顔を上げたと同時にその歪んだ空間から凄まじい勢いで何かが飛び出して来た。
それに煽られ虎太郎は椅子ごと後ろにひっくり返った。
ダンッ!!
銀髪の堕天使が壁に両足を突っ張った衝撃音が響く。
『なっ!?…右京!!』
『よぉ。あ、虎太郎…』
『なに!!』
その続きを言う前に歪んだ空間からまた何かが飛び出して来た。
『のわぁ!?』
『そこ…危ないぜ?』
背中にぶつかったそれは『すまない…』と言いながら立ち上がって倒れた虎太郎に手を差し出した。
『サッ…サリエル様!?』
『ハニエルだったかのか。大丈夫かい?』
虎太郎は2枚の漆黒の翼を持つ堕天使の手を握り返しながら立ち上がった。