とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
サリエルは外套の下に翼を隠すと長い前髪をかきあげた。
『しばし邪魔するよ。』
『あ…どうぞ…』
とさすがのアランも呆気に取られた。
人間の姿に戻った右京は『ふぅ…』と息をついてみんなに向き直った。
『察しの通り、サリエルを連れて来た。
彼に協力してもらう。』
『それは有り難いが…説明してくれないか?』
アランの言葉に右京は頷くと天界でのやり取りを報告した。
『なるほど。それで彼を…』
『クロウといいサリエルといい…もう何が来ても驚かないぜ…』
そう言うロイに右京は『そりゃ良かった』と笑った。
『役者は揃った。問題はシモンズをどうするかだ。』
『彼女の霊魂を更正させたい。』
黙って聞いていたアランは『分かった』と言って立ち上がった。
『今回はクロウとサリエルに任せて他は全面バックアップにまわる。
ダン。警察無線を傍受出来るか?』
『恐らく可能だ。』
『よし。
ロイ、盗聴器と小型カメラを用意しろ。
シモンズの自宅に仕掛ける。』
アランの作戦はこうだ。
まずニックとシンディが両親とシモンズを自宅から誘き出して足止め。
その隙にロイと虎太郎は自宅に侵入し、盗聴器とカメラを仕掛ける。
その後サリエルが“デュラハン”に扮して森へ誘導して説得にあたる。
『クロウは今回サリエルの後方支援だ。
君の話だとラファエルが邪魔をしないとも限らない。』
『ラジャー』