とある堕天使のモノガタリⅡ ~MIDRASH~


アランが素早く的確な指示をする様子を見たサリエルは『素晴らしい』と呟いた。


『ウリエル様…私はとても感動しました!

こんなに…こんなにも人間は団結出来るのか…!!』

『…そう…だな。』


半ば引き気味の右京を虎太郎が少し睨んだ。

目で“引くな!”と訴えて来る。


しかし、まだ何もしてないのにサリエルは瞳からポロポロと感動の涙を流した。


『おい、サリエル…うざってーから泣くな!』

『ああ…すまない。つい…うっ…ううぅ~…』


おいおいと泣き続けるサリエルに右京はついに『やめんかい!』と頭をバコンッ!と叩いた。


『右京!!こらえて~!』

『一々陰気くせーんだよ!誰だコイツ連れて来たのは!!』


一同に『おめーだ!』と突っ込まれて右京はフン!と開き直った様に鼻を鳴らした。


『とにかく!
男の泣き顔は萎えるから止めろ!』

『ううぅ~…シクシク…はい…』


まだ鼻をズルズルとすすりながらサリエルは目をゴシゴシとこすった。


『では各自準備に取りかかってくれ。』


アランの一言でわらわらとみんなが動き出した。


『俺はロイのサポートだ。
右京はどうする?』

『俺はこのしみったれを連れて潤の所に行って来る。』

『…大丈夫か!?』


虎太郎は心配そうにそう聞き返すが、右京は『へーきへーき』と手をひらひらと振って出て行くのだった。


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