とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
『コイツはフォカロルだ!
俺と契約してるから安心しろ!』
『フォカロル…?なんだ…そうでしたか…』
『これだから“へたれ”は困るんですよ。』
腕を組んでサリエルを睨むと『なにを!?』と悔しそうに彼も睨み返した。
『右京様、こんなの仲間にして大丈夫ですか?』
『“こんなの”とは何だ!』
『貴様の事だ、へたれ堕天使!』
『私はへたれではない!』
『フン!ラファエルの犬が偉そうにするな!』
『お前も偉そうにするな!
サリエルがラファエルの犬なら、お前だって俺の犬だ!』
右京は二人の頭をゴン!ゴン!と叩いて溜め息をついた。
ここまで仲が悪いとは…
『少し仲良く出来ないのか?』
『御冗談は休み休み言って下さい。
このへたれ堕天使が荷担するのであれば、ワタクシは忍様の元に帰らせて頂きます。』
まるで妻が夫に『実家に帰らせて頂きます!』とでも言うように潤はあからさまに不機嫌な顔になった。
『今回はサリエルがいないと話にならない。』
『わかりました。ワタクシは戻ります。
あ、シモンズですが早くしないとマズいですよ。
負のオーラが濃くなってますから…』
潤はそう言いながら右京とサリエルを霧に包んで気配を消してくれた。
『助かったよ。ありがとうな、潤。』
ヨシヨシと頭を撫でるとにっこり笑って姿消した。