とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
『まさか人間だけでなく、悪魔まで…ウリエル様は一体何者なのですか?』
『さあな。でも仲間には恵まれてるよ。
それより潤が言ってた事が気になる。』
負のオーラが濃くなっていると…
悪魔に漬け込まれたら面倒な事になる。
『幸いシモンズは“デュラハン”であるサリエルを慕っている。
説得には苦労しないはず…』
『そうとも限りません。
彼女は兄から暴行を受けていたせいで男性の性的欲望を嫌悪しています。
矛先が世の中の男性に変わったのです…
私の言葉を素直に受け入れてくれるか分かりません。』
『ではラファエルの言うように“処刑”するか?』
『まさか!!絶対にしません!
どんなに時間がかかろうと、彼女を更生させてみせます!』
サリエルの少し潤んだ瞳を見て右京は『それでいい』と微笑んだ。
『お前は決して弱くない。』
右京はサリエルの優しさは弱さではないと確信した。
コイツなら大丈夫。
問題はラファエルだ。
彼からみたらサリエルのしようとしている事は裏切り行為だ。
それをさせたのは自分だと思うだろう。
『俺はラファエルを抑えよう。』
右京がそう言うと同時にピピッとインカムが鳴った。