とある堕天使のモノガタリⅡ ~MIDRASH~



災難だ…



虎太郎は心の中でそう呟いて自室の回転椅子に跨ると、背もたれに顎を乗せてうなだれた。

その様子にルームメイトは心配そうに虎太郎の顔を覗き込んだ。


『大丈夫か?』


虎太郎のルームメイトはリーという中国からの留学生で育ちのよいお坊ちゃんだった。


『どうした?ヒューガ…』

『マイクとジェイに…バスルームで襲われた…』

『ええ!?…それは…かっ体は大丈夫かい?』

『…なんともないよ…』


バスルームで隅々まで洗われた後、なかなか離れないマイケルとジェイクに「右京に直接聞け!」と言い放った。


とは言ったものの…右京大丈夫かな…


絶対後で機嫌が悪くなり自分がフォローする事になるだろう。


次の瞬間入口の扉をバンバン叩く音に驚いて硬直した。

リーが扉を開けると仁王立ちの右京がいた。


「虎太郎!!」

「ほら来た…」

『やぁクロウ。』

『悪いなリー。ちょっと入るぞ』


そう言うと右京は虎太郎のベットにドカッと座った。


「…あの二人…そっち行った?」

「ああ、来た。お前のせいだってなぁ?」


今にもつかみかかりそうな勢いに同室のリーが慌てた。


『クロウ!?…勘弁してあげてよ。

ヒューガは今日体の調子が…』

『誤解だ、リー!俺の貞操は無事だから!』


右京は『貞操?』と首を傾げた。



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