とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
第4章
人生に分岐点があるとすれば“卒業”“進学”“就職”“結婚”だろうか…
高校を卒業し、大学に進学したら次は企業に就職だ。
もうすぐ日本に居る自分の彼女、忍がとある出版社に就職するらしい。
「聞いてねーよ!なんで黙ってた!!」
「今話してるじゃない!!」
「決まったの、夏の話だろ!?」
「あ~もぅ!!うるさい!私、卒論で忙しいから切るよ!?」
一方的に切られた電話に向かって「おい、忍!!」と叫ぶがツーッツーッという虚しい音が聞こえた。
悪態をつきながら携帯をベットに投げつける。
『物に当たるのは頂けないよな。』
『マイク、久しぶりに良い事言ったな!』
『というか、女に向かってあの態度はどうかしら…』
『リサ、右京にも色々あるんだから…』
『クロウには彼女へのフォローを期待しよう。』
額に青筋を立てながらうるさい外野をギロリと睨む。
ベランダに簡易ベンチを置いてスナック菓子片手に右京の部屋を覗く隣人…
その隣で窓から部屋に身を乗り出すバカップル…
回転椅子に座って眼鏡を押し上げるインテリなルームメイト…
『…』
鬱陶しい事この上ない。
右京がわなわなと拳を握り締めると同時に隣人は簡易ベンチを畳んで担いだ。
『てめーら何を見物してんだぁ!!』
右京がキレるタイミングを完璧に読んで一斉にダッシュでわらわらと散っていく。