とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
記者“ニコール”
虎太郎は週末の今日、リサとのんびり過ごす予定だった。
なのに…
『なんで俺が…』
ボヤく虎太郎に右京は木刀を投げて寄越した。
『ブツブツ言ってねーで付き合えよ。』
右京は朝から機嫌が悪い。
恐らく彼の彼女である忍との電話が原因だろう事は予想出来た。
理由までは聞いていない。
聞いたところで稽古の相手を他の奴にするなんて事はないだろうし、第一この右京の相手が普通の人間に務まるはずがないのだから…
芝生の上にワンピースの裾を気にしながら腰を下ろしたリサは虎太郎を見上げた。
今日も人形の様に可愛い…
『ヒューガ…あの男を八つ裂きにして頂戴。』
…言うことが毒々しいけど…
『仕方ないなぁ…死なない程度に頼むよ?午後はデートなんだ。』
そう言うと右京は『大丈夫、大丈夫』と木刀を肩に担いで軽くストレッチをしながら笑った。
だが、大抵こういう時の稽古は荒れるのだ。
『やってる!やってる!』
『見物に来たぜ~』
のん気なマイク達が見守る中、虎太郎は木刀を構えた。
右京の振り下ろす太刀を受けてカーーンといい音が響いた。
間髪入れずに打ち込んでくる太刀を受け流して、重心を少しずらして横に弾き飛ばして反撃に転じる。