とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
虎太郎はとりあえず右京に謝り、何故二人が本人の元に訪れて2時間も忍について根掘り葉掘りと聞き出そうとしていたかを説明した。
その話に右京は腹を抱えて笑い転げた。
おかげで機嫌はそこそこだったが、『今後を考えると鬱陶しい』とこぼした。
『でもクロウの彼女には僕も興味あるかも…』
そばで聞いていたリーはそう言うと右京を真っ直ぐ見た。
『頭も良くてクールで…その上強くて誰にでも分け隔てなく優しいじゃないか。』
『…そうか?』
『そうさ!正に理想像だよ。
君には人を惹きつける力があるんだね。』
『あまりメリットを感じない力だな…』
『右京は忍さんにしか興味ないからな~』
そう言われちょっと忍が恋しくなり、虎太郎の頭に拳を振り下ろして部屋を出て言った。
殴られた頭をさする虎太郎にリーは疑問を口にした。
『…ねぇ、ヒューガ。クロウは何で恋人がいる事を隠していたんだい?』
『右京は意外と寂しがり屋なんだよ…
思い出すと会いたくなるからだろうな。
今もかなり耐えてると思う。』
『あのクロウがねぇ~…』
虎太郎は慰めはしなかったが、せめて気を紛らわすくらいは出来るだろうかと考えた。
だが、右京程誰かを愛した事のない虎太郎には難問だった。
それを見透かした様にリーは『きっと大丈夫』と言った。
『だってクロウには君がいるじゃないか。
そういうとき仲間が側にいるって心強いと思うよ?』
…だといいけど…