とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
『いっそ“デュラハン”の伝説でも記事にしちまうか…』
『…まさか“正体は堕天使だった”とか書かないでくれよ?』
『書かねーって!読者はそんなオチに食い付かねーって!
謎は謎のまま、あやふやな方が面白いんだって。』
そう言うニックに右京は『そんなもんなのか』と言いながら回転椅子に座った。
『なぁ…“デュラハン”みたいにインパクトがあるネタってないか?』
『それ、俺に聞くわけ?』
『いいじゃねーか。都市伝説的な話知ってんだろ?』
『俺が知ってんのは有名どころなのばっかだよ…
ああ、そういえば日本版のデュラハンも都市伝説であるぜ?』
『どんな?』
『首なしライダーとか、戦国時代の落ち武者の幽霊とか…』
『“オチムシュ”って?』
『“オチムシャ”だよ。侍の幽霊!』
右京が落ち武者の話をしてやるとニックは意外に食いついた。
『へぇ…それ面白いな…
候補に入れておこう。』
『でもその記事は日本向けなんだろ?今時ウケるのか?』
『クロウ、俺は記者だぜ?文章でそんなものなんとでもなるのさ。』
ニックが言うには日本人と違った観点から書くから日本でウケるらしい。