とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
『ニック…』
『ん?』
『リアリティを追求してるわりに学歴は詐称してるのか?』
プロフィール欄の“イェール大卒業”の一文を指差して聞くとニックは声を上げて笑った。
『クロウ、俺は正真正銘イェール大卒だぜ?』
その言葉に右京は絶叫に近い叫び声を上げた。
『なんだよ!!そこまで驚く事か!?』
『驚くだろ、普通!!イェール大っつったら超名門じゃねーか!!』
ニックの服を掴んで揺さぶる右京を絶妙なタイミングで入って来たダンが見て目を丸くした。
『…警察の出番か?』
『ダン!知ってたか!?コイツ、イェール大だって!!』
『ああ、バカと何とかは紙一重って言うからな…』
『…それは俺を誉めてるのか?』
『もちろんだよ、ニック。』
そう言ってオーバーにおどけたダンをニックは『ならいいんだが』と呟いた。
『ところでダン。なんか面白い事件ないか?』
『またかなのか、秀才…』
『ホント胡散臭い秀才だよな…ニックって…』
右京の言葉にダンも『同感だ』と頷いた。
『そうだな…猟奇的な事件がいいんだろ?』
『そうそう。デュラハンみたいな…』
ダンは椅子に座って少し唸りながら考えた。