とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
『昔の先輩刑事に聞いた事件で今も伝説的なものがあるんだが…』
そう言ってダンは話し始めた。
『アメリカの田舎町で起きた事件で、道端に停めてあった車の助手席から首のない死体が発見されたらしい。』
『殺人事件か!?』
『まぁ聞け。その死体があった車の持ち主が第一容疑者だ。』
警察は容疑者にアリバイを尋ねると、『昨夜は友人達とバーで飲んでた』と答えたらしい。
夜中1時くらいに友人のひとりと車で帰宅し、その後は今までずっと寝て居たと…
『死んだのは一緒に帰宅した友人だ。
だが容疑者は殺害を否定した。』
その日は二人ともかなり飲んでいて、記憶も曖昧だったらしい。
だが揉めてたとか仲が悪かったとか、そういった事も無かった。
『頭は見つかったのか?』
『ああ、見つかったよ。
数キロ離れた道端に転がってた。』
それはトンネルの入り口付近で、その壁にはべっとりと血がついていたそうだ。
『うわ…つまり…それって…』
『窓から頭を出して寝てしまった友人が、容疑者の飲酒運転のせいでトンネルの縁に頭をぶつけた。
その結果、首のない死体が出来上がったって話だ。』
嘘のような本当の話として警察で語り継がれた伝説的事故だとダンは語った。