とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
『問題はここからだ。
この事件ファイルが残ってないそうなんだ。
つまり、今となってはそれを事故だと証明するものはない。』
『まさか隠蔽?』
『さぁな。だが隠蔽したとなると、その理由はなんだ?』
確かに…警察が隠したい何かがあったのか?
『っとまぁこんな伝説的な事件は腐る程ある。
ネットで検索してみろ。』
ダンはそう言ってニックの肩を叩いた。
『クロウはどう思う?』
『アメリカで起きたの事件だろ?
調べるならアメリカに行かないとなんとも言えないな…』
『アメリカかぁ…行って来るかな…』
『ひとりで調べるのか?』
『あ~そういうのは出版社に言えば助っ人を…』
『!?…ダメ!!絶対ダメ!!』
急に血相を変えて立ち上がった右京にニックは不審そうに見た。
『いや、別にクロウには迷惑かけねーよ。』
『…そーでもねーんだって…』
ブツブツ呟く右京にニックはニヤリと笑った。
『クロウ、俺を心配してんのか?
ったく、かわいいなぁ、お前は~』
お前ぢゃねーよ!と言いたいのをこらえて右京は笑ってごまかした。
忍とニックを二人だけでアメリカに行かせるなんて、なんとしてでも阻止するべきである。