とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
ニックは右京の言葉を無視して顎髭をさすりながら何かを考える仕草をした。
『よし、決めた。』
『凄く嫌な予感がする…』
『どうでもいいが二人とも。犯罪は犯すなよ?』
ダンは新聞に目を向けながらそう言うと、コーヒーを啜った。
ニックは自分のラップトップPCをカチカチと叩きながら『大丈夫!』と自信ありげに答えた。
『こっちには天使がついてる。まさか犯罪なんて…』
『天使じゃなくて堕天使だ。悪魔と大差ないかもしれないぜ?』
『そう言うなって!
そういえばヒューガはどうした?』
『デートだってよ。』
『なんやかんやでうまくいってんだな…羨ましい限りだ!』
思いっきりリサの尻に敷かれてる虎太郎をみてもニックはそう言えるのだろうか。
『もうすぐクリスマスだしな~…』
『そうだな…もうすぐ…』
クリスマス…
思考が停止したように固まる右京を、ニックとダンは横目でじぃっと見つめてから顔を見合わせた。
『おいおいおいおい…』
『まさかクロウ…それはないよな?』
『だっ…大丈夫だって!まだ時間はある。』
そう右京が言うとダンは独り言のようにブツブツと言い出した。
『航空便での配送は10日、船ならその倍で20日…』
ピクリと右京が反応した。